IDTechEx予測:世界のRFID産業は2018年に110億ドル規模の市場に成長

IDTechEx予測:世界のRFID産業は2018年に110億ドル規模の市場に成長
IDTechExの最新調査レポート「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」はもっとも包括的な業界評価を行っている調査レポートのひとつです。
このレポートは18年間におよぶRFID市場の評価実績やサプライチェーン全体のベンダーからの直接情報に基づき、過去2005年からの詳細な売上高、向こう2028年まで市場フォーキャストを提供します。
 
2018 RFID 市場動向
 
IDTechExの調査では総額でRFID業界が2018年に110億ドル相当の産業規模になると見ています。そのうちパッシブRFIDタグは50億1000万ドル、RFIDリーダーは28億5,000万ドルです。
 
それぞれの販売枚数と平均販売価格は選択肢によって異なります。IDTechExによる2018年の販売枚数の見通しは、RAIN RFIDタグ(対応周波数が900MHZ以下のRFID)が115億枚であるのに対し、HF帯RFID(対応周波数が13.56MHのRFID)は40億枚ですが、ICからタグへの移行期間と現有在庫を考慮し、2018年はRFIDタグよりもICタグの販売数が伸びる見通しです。
 
短期予測は以下に示す通りです。
 
Total RFID Market in US$ billions
Source: IDTechEx Research https://www.idtechex.com/rfid
 
RAIN RFID: ハイライト
 
アパレル産業におけるRAIN RFIDの普及率は2018年に小売り衣料品のタグ付けの最大市場規模、TAM(年間800億枚と推定)の約10%に達する見込みで2023年までには210億枚に伸びるとIDTechExは予測しています。
 
特に飛行機の手荷物にタグを付けることが強く期待されています。今年、主要な業界団体であるIATA(国際航空運送協会)は2020年の実用化を目途とした、手荷物のタグ付けに関するRFID規格を策定中であると発表しました。デルタ航空はこうした流れにいち早く反応し対応を進めています。なお、航空業界におけるRFIDタグのTAMは年間36億枚です。
 
RAIN RFIDは様々な産業で導入されています。案件毎の規模は小さいものの、世界全体としての規模は拡大が進み、IDTechExは2018年単体でも、全体で20億枚のRAIN RFIDタグが資産追跡に使用されると予測しています。
 
中期的にも将来の展望は明るく、日本の経済産業省は2025年までに1,000億個の小売品目の電子タグ化を目標に掲げていますが、設定された目標単価が1円(米1セント以下)という点は楽観的すぎると思われます。本レポートのタグ価格のテアダウンに関する項目の中で、RAIN及びHF RAFID双方のタグ構成部品費用の動向を取り上げています。
 
HF/NFC RFID: ハイライト
 
電子決済、セキュアなアクセス、交通系に用いられているHF帯RFIDは、高い安全性が要求されることから、平均販売価格はRAIN RFIDより大幅に高い傾向となっており、2018年は交通系や電子決済等の伸びを受けて、21億5千万枚の非接触型カードの販売が見込まれています。
 
HF タグの用途のうち、金額ベースで2番目に大きい市場であるパスポート用のタグについては、2018年単体で4億4,200万ドルの売上が見込まれています。
 
HF帯NFCの電子決済以外の用途は、2018年に数億枚規模に成長する見通しですが、ほとんどの用途は、多くの案件で導入規模が比較的小さい状況が続いています。スマートフォンという形態での巨大なNFCリーダーネットワークをよそに、最大規模の機会とされる、現段階では定義が難しいスマートパッケージングのネックとなっているのが価格です。現行のNFCタグの価格で(年間10億個以上の)パッケージングにNFCの大規模導入を実施することに対して、十分に強力な投資回収や価値を示したNFC事業者はいないことは、IDTechExの調査で明らかとなっています。長期的にはフレキシブルIC等の新しい技術が価格を押し下げるかもしれません。
 
Active RFID in Flux
 
「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」では様々な新しいテクノロジーの選択肢を受けて、アクティブRFIDが極めて流動的な状態にあると指摘しています。アクティブRFIDの利用については、軍隊における歴史的な大規模利用から小規模ではあるものの収益性の高い製造や資産管理での多種多様な利用へと変化してきました。費用が高く問題のあるアクティブRFIDリーダーは、低電力で数キロメートルにも及ぶ広域ネットワーク(LPWAN)という新たな選択肢に取って代わられています。利用可能ないくつかの選択肢の中でセルラーネットワークをベースにしたものの一部は第5世代移動通信(5G)規格としてまとめられました。各国政府は各種LPWANソリューションを支援しており、例えば中国政府は2018年までに1億5,000回のこうした「接続」を目標に掲げています。Active RFIDのビジネスモデルは、タグの販売から有料制の資産追跡サービスの提供へと変化します。
 
競争による脅威
 
いくつかの新しい技術がRFID市場の成長に影響を与える可能性があります。マシンビジョンは複数の企業が妥当な距離に置かれた物体を特定するために安価なカメラを使用できるところまで改善されています。そのハードウェアやソフトウェアの技術開発は自律型車両のセンサーや携帯電話のカメラ等、他の産業からの資金で賄っており、アイテム識別の技術が潜在的に享受できるような技術の基準を構築しています。そしてBLE(Bluetooth Low Energy)とその巨大なリーダーネットワークとの連動も現在進行中です。 「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」ではこれらについて評価しています。
本レポートは、RFID産業に携わっている方、または将来的な関与を検討されているかた向けです
 
「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」 は過去、現在、および未来のRFID業界に関する膨大なデータを提供しています。データはグローバルベースで提供しています。 さらに詳しくは
 
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